朝のテレビで甘利さんや橋下さんが議論していたが、
最近、GAFAが脅威、なぜ日本にはそういう企業が生まれない、
新陳代謝がない(ダメな社員や中小企業を無駄に守る)社会がダメ、
そもそも民主主義が限界(意思決定に時間がかかる、既得権益を倒せない)、
といった論調があるが、それは本当か。
日本が独裁制になって解雇規制を撤廃し、中小企業を潰せば、
GAFAのようなグローバル企業が日本から生まれるのだろうか。
うーん、あまりそうは思えない。
そもそもなぜ今、アメリカや中国に巨大企業が多いのか。
バブル期には日本企業が世界の時価総額上位に名を連ねていたが、その比ではない。
IT、テック系企業の特性として、グローバルスタンダードができやすくて、
一極集中しやすいというのがありそうだ。
アメリカの特性として、自由で多様な社会があり、新陳代謝が激しいということもあろう。
中国は、メンタリティは日本に似ていて、しかしより独裁的で多様性は無さそうだが、
圧倒的に人口と経済規模が大きい。
因みにインドは人口は多いが、まだまだ経済が未熟だ。
この辺が理由だと思う。
日本が中国並みの人口規模を持てないとすると、メンタリティでアメリカに近づくしかないが、
それは規制緩和しても限界があるだろう。
なぜなら、日本は豊かな島国であるという事実は、ずっと昔から変わらないからだ。
海は、良くも悪くも外国、異文化をシャットアウトする。
それでは新陳代謝や、多様性は、仕組みとしてそもそも生まれない。
現代はネットや経済取引で、海外の考え方を学ぶ余地は多いが、
できるのとその必要性があるのとは別物で、生活に困らない庶民は、
わざわざ英語を勉強して難しい海外の英知を学ぼうなどとは思わない。
結局、日本というローカルでほぼ全て完結しているということだ。
ではなぜGAFAが生まれないことが問題なのか。
今のままでいいじゃないか。となる。
はっきり言って、英語というスタンダードもない、思考回路的にも独特な日本に、
グローバルスタンダードを生み出すことは不可能だ。
日本は世界でニッチなんだから、そこを自覚しないといけない。
ニッチにできることがある。例えば、コツコツ研究することは得意で、
iPS細胞みたいのを生み出せるんだから、そういうので貢献すれば良い。
作るところが得意で、世界で上手に売るのは下手くそなんだから、
そこは得意な海外企業に任せれば良い。踏んだくられないように、上手く任せる必要がある。
上手く任せるためには、相手を知る必要がある。
つまり英語とモノの考え方だ。
GAFAに買収されるとか、個人情報を食い物にされるとか、そのへんは、
黒船が来たときや、2000年ごろのハゲタカ脅威のような、無駄な慌てふためきを感じる。
歴史を通して、植民地を蹂躙するより、育てて取引する方が得だと学んでいるのだ。
買収されるのが悪いことではない。
しかし、GAFAの議論とは関係ないとしても、ダメな社員や中小企業を
政治の票や惰性で守るのはおかしい。
ローカルでひっそり生きたい人もいるけど、こういう時代だし、
グローバルに生きたいという人もいる。
イギリスの例を見れば、島国でもグローバルに生きることはできる。
日本がそのバランスをどうとるか、どうなりたいのか、それを考えるためにも、
海外を本当の意味で知ることが大事だ。
世界を知った上で、自分たちの立ち位置を知った上で、自分たちの進路を決める。
それは最低限必要だろう。