年金・医療・介護といった社会保障制度は、経済成長しないと維持できない。
少子化、高齢化、人口減少すると、経済成長しないので問題だ。
労働力不足も経済成長の足を引っ張るので、女性に働いてもらわないといけない。
こういった論調をいたるところで見かける、というか政府はこう言っているが、
どういうつもりで言っているのだろう。
全てが本質的に間違っている!!!
経済成長しないのが問題なのではない。
経済成長しないと持続できない制度が問題なのだ。
なぜ子どもを産む数とか、結婚とか、そういう個人的な生き方の問題を、
政府の制度に合わせて決められないといけないのか。まずそこが間違っている。
そこは個人が、自らの意志で自由に決めることだ。
年金制度が特に問題だ。
サラリーマン時代に月々数万円払って、定年後に死ぬまで毎月数十万円もらうって、
おかしいにきまってる。どうして払った額の何倍ももらえるのか。
高度成長期で経済が高成長しているときは、貯蓄の運用で拠出原資の何倍もの資産が形成できる。
たとえば、7%で100円を30年間運用すれば、761円になる。7倍以上だ。
だったら2万円の保険料が15万円になって戻ってくるのも理解できる。
でもそれは、高度成長と言う特殊な状況の話だ。
そういう特殊な状況で機能する制度が永続するわけがない。
大体、みんな今90歳ぐらいまで生きるのに、60歳で引退して30年間遊んで暮らすということが、
直感的に間違っているだろう。本人にとっても幸せではないし、社会保障制度的にも無理なのだ。
要は、年金問題の具体的かつ適切な解決策は、「死ぬ日まで働こう」ということだ。
健康寿命が短いとか、そういうことは年金制度ではなく、医療や生き方の問題だ。
健康なのに働き口がないというのは、労働制度・市場や企業の在り方、本人のスキルの問題だ。
最も甚だしい誤解は、女性が働けば経済成長して社会保障制度が持続する、という考えだ。
少子化、高齢化、人口減少で需要が減退しているんだから、働き手を増やして供給を増やしても、経済成長はしないのだ。どうしてこんな簡単なこと、本当にわからないのか?
生産性向上、生産性向上って、どういう意味で言っているのだろう?
労働力不足というのは、業界や企業の個別の問題だ。
低賃金や劣悪な労働環境で、働きたくないと思われているだけだ。
みんな働かなくてもやっていけるから、そういう条件の悪い場所で働きたくないだけだ。
実際、労働力不足と言われる外食やコンビニで働いているのは外国人ばかりだ。
彼らはきつくても働く必要があるのだ。
医療や介護の労働力不足は、また別の固有問題だ。
まず資格管理されている職種は、政府の管理がうまくいっていないということだ。
あとは、医療や介護は何かを生み出す仕事ではなく、言い方が難しいが、「処理」の側面がある。社会の費用というか、だから一般的な労働市場の原理や、経済成長と結び付けて考えられないことが多い。
つまり、女性の社会進出というのは、機会平等・アファーマティブという意味では今日的に必要だが、経済成長とか社会保障制度の維持という観点からは失笑する政策だ。
実際、そうやってあおられて仕事と遊びにいそしみ、婚期を逃した30代以上の今の独身女性、いまだに必死でアプリやパーティーで婚活しているが、結婚できた人、辛うじてできても幸せそうな人を見たことがない。独身のまま仕事に打ち込んでも、幸せそうな人をあまり見たことがない。これは男も同じだが、家族ももたず懸命に仕事に打ち込む人生は、そこまですべてをささげて情熱をかける仕事があるから成立するものだ。明治期や高度成長期にはそういう熱い仕事が多かったかもしれないが、正直経済的に飽和した現代で、そういう意味の仕事は少ない。つまり、独身でいて満足できる可能性は少ない。女が出産や子育てに幸せを感じるのであれば、なおさらだ。「婚期を逃した女ほど悲惨なものはない」という言葉が、まったく色あせていない。
要は、「女性の社会進出」というのは、政策としては悪なので、機会平等確保を徹底すべきである。