例えば戦略コンサルとして優秀で実績を上げていた人が、
事業会社のマネジメントとして移籍して、
成果を出せるかどうかは、かなり怪しいと思う。
特に日本の場合。
思考力とか、戦略とか、個人技、いわゆる「ビジネススキル」は高い。
それが高いことは必要条件。
でも、事業会社のマネジメントでは、それに加え、スタッフをまとめて、
モチベーションを高められる「人間力」「管理者としてのスキル」が重要だ。
特に日本ではその重要度が高く、さらに、その内容は、
つまりどういう人間が「慕われるか」というと、
良いスーツ着てネクタイを締めて、良家の子女と結婚していて子供がいて
一軒家を持っていて、トヨタのセダンに乗っていて、チャイム通りに動いて
挨拶と礼儀を完璧にこなして、飲みにケーションが上手で、部下の結婚式の
挨拶でソツの無いスピーチができて、ゴルフやスポーツなんかもできちゃう、
という、ビジネススキルとは全然関係ない日本的シュミの世界のスターだろう。
世間体の権化というかね。
そういう人でないと、多くの日本的大企業のマネジメントはできない。
いかにビジネススキルがあっても。
そして、そういう組織を、人を、「変える」ことは、容易ではない。
基本的には不可能だ。潰れて痛みを味わって変わる方が早い。
だから、ビジネススキルだけが突出して高い人は、そういう世間体に迎合したくない人は、
外資とか、ITとか、あんまり伝統的大企業でない日本の会社でマネジメントするか、
あくまで外部のプロフェッショナルとして生きていくしかない。
今はそう思っている。