「幸福論」ってタイトルで色んな人が本を書いてるのですが、
今回はアラン。神谷幹夫訳。
個人的には、この翻訳はヘタクソと感じる。
何言ってるのかよくわからない。
でも中身は面白い。
アランは切り口が斬新な考察が多い。
例えば、「祈り」という章。
自分で実際に口をポカンと開けた状態のまま、
「イ」と発声している自分は、なかなか想像できない。
また、口角をあげて笑顔のかたちでいながら怒りの感情を思い出すことは、
なかなかむずかしい。
つまり、想像は実際の行為・体の動きにかなわない。
わきあがってくる強い感情は、いくら理性でコントロールしようとしても、
なかなかできない。
情念>理性。
でも、実際の身体の動きや行為で、情念の方をコントロールできる。
行為>情念>理性。
例えば、眠れない夜、眠れない理由を考えて、何とかしようと
理性で懸命に考えるほど目は冴えますます眠れなくなるが、
とにかくゆっくり深く呼吸を繰り返して体の力が抜ける姿勢をとることで、
いつのまにか寝ることができるということ。
よく、「考えを変えれば行動が変わる」というけれども、
なかなか現実には難しい。
だから、物理的な姿勢とか、服装とか、発声とか、挨拶とかって、
形式的な行為から入って魂を変えていくという効果的な方法として非常に大事なんだな。
それを「祈り」と呼んでいるのだろう。