現代社会は複雑で、数十億人も人がいて、
インターネットには情報がたくさんあるし、
図書館にはものすごい数の本が並んでいて、
いろんなことがあって、わけがわからない。
でも、生き物としての人間の人生なんてシンプルなもので、
生まれて、飯食って排泄してを繰り返して、寝て、
パートナーを見つけて子づくり子育てして老いて死ぬ、
それを何世代もずっと繰り返す、ただそれだけのことだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
ただ生きているだけだ。
繰り返すだけだ。
それは、動物も同じだ。
アフリカの野生動物も、同じように繰り返し、
ただ生き延びるだけだ。
さて、人間は本当に他の動物と同じなのだろうか?
食とセックスを繰り返し、ただ生き延びるだけなのだろうか。
数千年の知恵は、「人はパンのみに生きるにあらず」という。
それは動物や他の生き物と、人間の違いを説いている。
人間には知恵がある。心というか、良いか悪いかは置いといて、
動物にはないものがある。
それにより人間は他の生き物より「繁栄」しているが、
他の生き物にはない残酷さや、苦しみも抱えている。
今日の食糧への不安はなくなったが、
代わりに多くの苦悩を抱えている。
つまり人間の不幸は、パンではなく精神に原因がある。
幸福も、精神に鍵がある。
「人はパンのみに生きるにあらず」とは、そういう意味だと思う。
だから物があふれる現代社会で、より美味しいものや、
さらなる寿命や便利さ、お金、勝ち負け、
にこだわり続けることに幸せがあるのだろうか。
過去を、資本主義を、否定はしない。
けれども、役割を終えるときなのかもしれない。
資本主義的競争社会で良しとされてきたもの、
それを今後も突き詰めることは、人類に不幸を招く。
微塵もそう考えずに、個人の長寿や、デザイナーベイビー、
企業の競争のための競争を追及する姿勢は間違ってると、やはり思える。