人間は変化を恐れる。
いま飯が食えて、寝床があるならば、新天地を求める必要性はどこにあるのか。
「現状維持バイアス」は、ネットでは克服すべき悪しき本能として語られることが多い。
しかし、人間の本能がすべて現代社会で不要とは思えない。
現状維持バイアスを外そう、といううたい文句の背景には大体、
転職サービスや新製品のプロモーションがある。
今の安定した企業を離れたら、安定的な生活はもう得られない可能性がある。
大いにある。それに不安を感じる本能は正しい。
しかし、だ。
変化したほうが明らかに良さそうなのに、
現状にしがみついてしまうことがあるのも事実だ。
明らかに引っ越したほうがいい住処。
明らかに距離を置いたり、離別したほうがいい人間関係。
足を洗ったほうがいい仕事や世界。
わかっているけれども、惰性や、思い出、面倒くささ等が邪魔して変化できない場合がある。
この「現状維持バイアス」は、悪しきものだ。
打ち破って変化する勇気を持つべきだろう。
正しい本能の警告か、打破すべき惰性・固執か。
それを見極めるのが大切だろう。
後者の場合、ロジカルに考えてえいっと変化するのは大事だが、
どうしても難しいとき、徐々に変化するのも手だ。
徐々に変化するのであれば、そこまで負担はないものだ。
しかし、古代に新天地を求めた人や、新しい食べ物を探求した人は、
豊かな土地から追われた負け犬だったのだろうか。
それとも、好奇心旺盛なタイプだったのだろうか。