「これからの日本の論点 日経大予測2018」という本を買ってしまった。
内容が酷い。日経の編集委員の脳みそを本気で疑う。
たとえば、働き方改革の章を書いている水野裕司氏。
ちゃんと考えて書いてますか?ただの手抜きですか?
ちゃんと考えてるならヤバすぎる。薄っぺら過ぎる。論理破綻してる。金返せ。
たとえば、氏は、「日本の問題は労働力不足で、生産年齢人口が減少している。
解決には一人当たり付加価値の上昇=生産性向上が欠かせない」と言っている。
は?
はあ??
総人口が減少してるんだから総需要も減少する。だから労働力は不足しないのだ。
特に一番家買ったり車買ったり消費が旺盛なのは働く世代なわけで、
その世代が減ってるんだから働き手の絶対数も減っていいのだ。
問題なのは、経済成長を前提にした社会システムと、介護だ。
前者の維持のためには総需要が減ることがそもそも悪なので、
グローバルで売上を取りに行かなきゃならない。
でもそれが充分できないから問題なわけで、
「生産年齢人口の減少⇒労働力不足⇒生産性アップ」
という筋は、まったく見当違いである。
また、たとえば介護の分野では人手が不足しているかもしれないが、
そもそも介護というのは、残念ながら新しい付加価値を生み出すものではない。
介護企業の「売上」にはなるのだが、その金は公金から出るので、
マクロ日本で見れば「費用」なのだ。
だから生産性とか成長とかいう話には全く結びつかない。
日経の編集委員には、マクロとミクロの勘違いが多い。
「労働力不足」とバカの一つ覚えみたいに言っているが、
それはマクロで本当にそうなのか?
そうは考えられない。
介護や外食等、いわゆるブラックっぽい業界・会社に働き手が集まらないかもしれない。
でもそれは、業界・会社の固有の問題であって、
きついとか、給料が低いとか、理不尽だとか、
全体で労働力が足りないということにはならない。
ニートはたくさんいる。
労働力不足ではなくて、業界・企業固有の問題と、求人と求職のミスマッチの問題なのだ。
また、氏は、残業問題を、「仕事をこなせない個人の低スキルの問題」
だと思っているようだが、そこも全然わかってない。
なぜ残業が多いかと言うと、残業した方が給料が高くなるシステムだからだ。
また、コンサルや投資銀行や商社や電通みたいな人たちがなぜ毎晩深夜までストイックに
働くかと言うと、商品・サービスにもはや大差がないので、
無限の営業活動地獄に陥ってるということが大きいのだ。
(もちろん、エクセキューション自体が大変、というのもあるが。)
たとえば、M&Aのアドバイザリーサービスに、もはやプロであればクオリティの差は無い。
エクセキューションに差がつかないとすれば、普段から足しげく顧客に通うとか、
その時に持参するピッチブックをなるべく分厚く綺麗に仕上げて、
「僕たちはお客様のためなら寝ないで働きます!
ほら、こんなに分厚い資料を今日も作ってきましたよ!」
とアピールして案件をもらうためなのだ。本質的に。
それは、本質的な価値の薄い仕事だが、同業他社比較で優位に立つという意味で必要で、
その競争を制限する歯止めが無いから、アソシエイト達が不眠地獄競争を
させられるということなのだ。
(もちろん、それに快感を感じるというストイック気質が
日本のエリートさんには強いという要素もある。)
いずれにせよ、仕事をこなせないから残業しているのではないのだ。
いやはや、経済紙でこのレベル。
日本の知性は大丈夫か?本当に。