たまには算数系の話。
よくファイナンス系の話で、
「PBR=PER×ROEだから、ROEを向上させればPBRが上がる!」
みたいなのがあるが、とっても怪しいのでよくよく考えた方がいい。
例えば上記の「PBR=PER×ROE」というのは、
「時価総額 / 純資産=時価総額 / 純利益 × 純利益 / 純資産」
という恒等式を言っているのだろう。
そりゃそうだ。これは常に成り立つ等式だ。恒等式。
だってそう定義してるんだもの。
問題は、だから何?
So What?
ということ。
例えば、「ROEが上がればPBRが上がる」というのは本当なのか。
ROEの上昇が、純資産の縮小によるものなら、
他の条件が不変ならPBRの分母も縮小して、PBRは上昇してるだろう。
しかし、ROEの上昇が、純利益の増加によるものなら、
PERは低下して、結果的にPBRは変わらないかもしれない。
さらに現実的に突っ込めば、純資産を減らしてROEやPBRを高めることに
一体何の意味があるのか(自己株買い)、
それぞれのパラメーターを変動させたら、現実には他のパラメーターにも
影響あるだろうということ、
(数学のa,b,cはそれぞれ独立変数だが、経営上の変数は独立じゃない)
この辺を考慮しないで見かけ上の定義で「ROEアップ⇒PBRアップ」
とか言ってても、何の意味もない不毛な議論になる。
まっとうな経営者やビジネスパーソンは、
怪しいアナリストのこういったまやかしにどうか引っかからないことを願う。