とても難しい問題だが、電通とか、日本のマスコミをはじめ、
旧体質の大企業・組織にはとんでもない明らかなセクハラをする人間が、
想像より多いみたいだ。
男性上司が部下の女性にデートを強要する。
女性は嫌だけど、断ると左遷させられる。昇格できなくなる。
対等ではない上下関係の中に男女関係を持ち込まれて問題が起きる、のだろうか。
まず、上司と部下が「対等ではない」という前提をそろそろ疑った方がいいのではないか。
「上」と「下」というネーミングがおかしい。
ボスはマネージする人であり、チームリーダーであり、監督であるだけで、
人間的に上下があるわけではない。
まずここが、多くの日本人が勘違いしているところだろう。
旧態依然とした組織の「お偉い」おじさんたちが、自分たちが本当に「偉い」「尊い」
と勘違いして、部下の生殺与奪を自分が握っている、自分の好きなようにできる、
社内のみならず家でも偉そうに「おーいお茶」と言ったり、
レストランでも店員に偉そうな口をきく。
ただ、多くの「下」も、自ら「下」になり下がっている。
「あの人はやっぱり凄い。尊敬できる」
「自分なんか才能もないし努力もしたくないし、言うこと聞いてよう」
一見、謙虚なようにも聞こえるが、
ある人を全面的に尊敬して全て崇めるというのは、間違っている。
人は神ではない。そういう思考が、天皇を神格化して間違った戦争に突進したりする
行動につながるのだ。人は間違えるのだ。
でも、日本人の多くはアイドルやタレントやビジネスパーソンでも、
だれかを神格化して崇拝するのが大好きだ。それをまずやめよう。
そして自分で思考して、自立することが大事だ。
面倒だし、権力者の言いなりになっていれば、それなりに飯が食えるからいいや、
という発想だと、コントロールされ、ハラスメントの余地が生まれる。
「下」にも責任はある。
人は、ペコペコされつづけると、自分が偉いと勘違いするし、
無駄にペコペコしつづけると、自分を卑下してしまうものなのだ。
でも、昨今のパワハラは、基本的には「上」の「おじさん」が悪いケースが多いだろう。
ただ、男女というのは古今東西難しいもので、
女が「オンナ」を利用して権力者を倒すという事例もいくらでもある。
どうやって「本当に悪いセクハラ」に線を引き、判断するかは難問だ。
というか、本質的に個人の心理に寄ることになるそれは、判定が困難だ。
そうすると、そもそも男女が一緒に仕事をするのはよくないという、
古典的な役割論に回帰してしまう。それは一理ある。
でも、現代社会でそうも言っていられない。
どうするのか。
まず日本では現実として形式要件をかためるしかない。
「李下に冠を正さず」だ。
つまり、同僚の男女が二人きりで密室に入ったらダメ。
入った時点でアウト。ということ。
女性の側も、「オンナ」を売りにしないこと。
風俗やお水は勿論、アイドルグループや、ミニスカや、MRや生保レディの「営業」だって、
「オンナ」を売りにしたものだ。(例外は勿論あるだろうが。)
なぜイスラムでは女性はマントで顔まで覆っているのか。
それは、男という生き物はどうしても女性の裸の肌をみて興奮し、
しかし社会的にコントロールした方が良いものだから、
女性の自衛も含めて、肌を包み隠すということなのだ。
パンツが見えそうなスカートをはいておいて、
覗くなとか言う方が、100%正しいわけではないということだ。
こういった戒律は、どこの宗教でも大体ある。
もうひとつは、エシックスを高めること。
これは時間がかかる。でも日本に足りないものだ。
日本人は、「上」が偉くて、それに従うという規律で社会が成り立ってきた。
高度成長は一直線だから、それでカイゼンして成長できた。
でも、経済的に飽和して、社会が多様化・複雑化してくると、それだけではダメだ。
「誰か」を崇めるのではなく、みんなは神の前に平等で、
「誰か」が見ていなくても、社会的に、自分的に本当に「正しい」と思う行動を
できるようにする必要がある。
セクハラというのは、こういった最も深く難しい社会的問題なのだ。