銀座にあるような、座っただけでひとり何万円以上もするような
高級クラブ。高度成長期ほどの勢いはもはやないとしても
依然として存在するこの世界って、日本のいやらしい部分、悪い部分の象徴だと思う。
伝統的大企業の重役や政治家の社交場である高級クラブは、
キャバクラなんかの女の子と遊ぶ風俗店とは全然違う。
もちろん遊びの場、お酒の場なのだけど、「地位のある人」の社交場なのだ。
この「地位のある人」というのが、いやらしい。
基本的に「一見様お断り」の世界。
「この社交場にふさわしくない、レベルの低い人はお呼びではありません」
といって、紹介制と無意味に高い料金設定でお客を選別することで社交場としての
ステータスを上げ、市場価値を高めていくということだ。
こういう狭い密室で、閉鎖的な世界で、
「地位のある人」たちが、財界人・政治家たちが、
なかよしこよしになって、ビジネスや政治の話を全部まとめて
「よろしく」と決めていくのが許せない。
そこが気に入らないし、いやらしいし、間違っている。
なぜもっとオープンに、色んな人が論理的に意見を交わして、
ディスカッションして、日本のものごとは決まってこなかったのか。
なんでこんないやらしい社交場が必要だったのか。
それは日本人が価値観の多様性を認めず、
「上下関係」だけの島国だったからだろう。
そもそも色んな意見や考え方をもつ「横の関係」が少なかった。
そして特に戦後の高度成長の過程で、
一気にGDPと寿命を延ばすという目的のためには、
そういった中央集権的な、独裁的な、軍隊的なやり方がよかったのだろう。
そのプロセスは否定しない。
しかし、もう時代は変わった。
GDPと寿命が第一ではなく、価値観を強制する必要はないし、
してはならない時代になった。
イギリスもトランプも閉鎖的なことを言い出しているが、
私は海外との交流をして色んな世界や考え方を知りたいと思うし、
うまくやれば、理想的にはなるべく広い範囲で、多くの人が取引した方が
経済的にも知的好奇心的にも良いと思っている。
だから、いまだに過去のやり方、成功体験が忘れられず、
古いやり方にこだわり、閉鎖的な世界に閉じこもる
銀座高級クラブシステムを、嫌悪する。
それは、EUを離脱するイギリスや、
トランプ支持者と、本質的に変わらない、
退屈で危険な考え方だ。